Gimme, Heaven
」のレビュー

Gimme, Heaven

モガ子

テーマ多重人格を一冊でしっかり味わえる!

ネタバレ
2022年6月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 複雑で難解になりがちな多重人格ものを扱っていながら、
見事に一冊で描き切った、作家さんの画力と物語の説得力が凄いなぁ…と思います!
多重人格という、重く慎重にならざらないテーマではあるのですが、主人格の海里と同棲している雅己がどのように障害に向き合い、一緒に生きていくかを丁寧に見せてくれています。

私なんかのBL脳では、つい色々な人格とのナニが拝めるのでは?と邪な欲求が顔を出してしまい恥ずかしい限りですが、本作はそういったBL展開ではありません。
しかし!
あら残念。と思うことが全くないのが凄いところ。
海里たちを真摯に懸命に受け止め、支える雅己の人柄。
主人格である海里を支え守ってきた他4名の人格も魅力的。
海里と一番深く繋がっている碧海という人格の温かさ、それにはじんわりさせられます。

多重人格というからには?他人格が生まれた背景があるわけで、分離していた自分自身をラストに向けて統合していく流れがあります。
繋がりたいのに、トラウマがあることで、繋がれない二人。
トラウマの元になった事柄は痛ましく見るのが辛くはなりますが、海里が過去も自分自身をも受け入れ、雅己を受け入れていくところなんか、見応え十分です。
本作は、海里の辛さを一身に背負ってきた碧海と海里の統合が主軸になっていて敢えて他人格にスポットは当てていません。一冊でまとめるにあたりページ数の関係もあるだろうし、でもそれが逆に物語をスッキリ読み切れた感はありました。

多重人格とくれば、みちのくアタミさんが出てきてしまう私。
あちらも素晴らしい作品です。
当たり前ですが、作家さんによって同じテーマであってもこうも印象が違うんだなぁ…と今更ながら感嘆しています。
レビューに感謝です。
本作は、
多重人格ものとしての読み応え◎
BL的視点からの画力◎修正甘い◎
とても良い作品だと思います。
この作家さんが、
これからどんな物語を描かれるのか、非常に楽しみです。
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