天才・時任博士の受難
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天才・時任博士の受難

日野雄飛

時任博士と玉熊さんの関係性が最高

ネタバレ
2022年6月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 173ページ。
天才が天才っぽくて良いです。興味に忠実。
ロボットもロボットっぽくて良いです。コマンドに忠実(ちょっとズレちゃったけど)。
AIのネットラーニングは碌なことにならんなw という、SFエロコメでした。ネオンのやることなすこといちいちくだらなくてポンコツだけど、機械の思考回路として筋が通ってるのが面白かったです。江戸のからくり「弓曳き童子」の昔から、ポンコツロボット好きは日本人(一部)のDNAに刻み付けられているに違いない。
時任博士とネオンは、いわゆる恋愛ではないけれど、やっぱりそこにはラブがあるよな、と思っています。でも最初から最後まで「変人」と「ロボ」の立ち位置を崩すことなくまとめてあり、とても好みでした。都合よく唐突に普通の恋愛でまとめちゃうのがよくあるパターンの中、そっちに流れなかったのは素晴らしいです。
そして、時任博士が自分のことを語るところ、あれは著書本人にも当てはまる部分が大きいのではなかろうかと……この作者さんの作品、恋愛感が薄いなと思ってるので。で、それが良いと思っているので、この作品はビタっとハマった良作だと感じています。
まあでもですね、この作品で何がエモいかって、時任博士が玉熊さんに抱いている感情ですよ。「あの頃玉熊さんと寝なかったのはつくづく正解だった」って、要するに玉熊さんが性欲よりも大切だったって事ですよねそれってつまり特別だって事なんじゃないですか一時の熱でくっついて別れるのが嫌でずっと縁を繋げていたいって事じゃないんですかーーー(早口)!! 玉熊さん、自分より先に死なれた場合に時任博士が葬式で泣く、たったひとりの相手なんじゃないかと踏んでます。研究上の良き話相手、僅かなライバル心、世話をやかれる心地良さ……腐れ縁……そこにはロマンがある……!
そして、あとがきにある「ロボットが壊れるシーンはロマン」、わかります。
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