抱きしめ返してくれる幸福

ほんわかした絵柄の作家さんですが、ほんわかの中にピリッとした部分もあるのが魅力。今作もぬいぐるみでほんわかかと思いきや、問題を抱えた心理症状の現れという。イオリが大量のぬいぐるみを溜めこみ、アキは対照的に無意識に全て捨ててしまう症状。どちらかと言うとイオリは多少の自覚はあるけれど、アキは自覚なかった分だけ症状は深刻なのでは？と思いました。生い立ちからコミュ強になったものの、大切なものが何もなくなったアキがイオリと関わる事で次第に大切なものを自覚していく。イオリも、アキのおかげて大切なものが抱きしめ返してくれる幸せを自覚していく。丁寧なストーリー構成で、とても良かったです。『大切なものはひとつでいい』『ずっとそばにいてほしい』これは２人共が最初から胸の奥に抱いていた望みだった気がします。ぬいぐるみは心臓の音がしないし抱きしめ返してくれない。けれど、アキとイオリお互いがいれば抱き合える。最初から読み返すと、２人とも抱きつかれても最初は抱きしめ返せてないんですよね。それを考えるとエッチは感動もひとしお（リバっぽいけどイオリ受）あと、金蘭のみんなはずっと優しくて優しくて食卓囲むシーンはウルッときます。天然口説き文句のイオリにメロメロなアキくん可愛い。叶うならイオリ攻も見てみたいですw