灰の月
」のレビュー

灰の月

木原音瀬/梨とりこ

全てを取り去って

ネタバレ
2022年6月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 惣一。酷いことを沢山してきた人なので、酷い目にあっても仕方ないのかもしれないなんて、思ってしまいます。本当は、そんな事はないのかもしれないけれど。本当の自分を隠すために目を逸らしていたけれど、逸らせなくなってしまった。組長の息子でなければ、ここまで隠さないで生きていられたかもしれないです。不憫です。上巻ラストに嘉藤から告げられた言葉が、惣一を切り刻む。嘉藤は自分の理想を求めて求めて。ずっと惣一のそばにいる。理想って、なんだ。それが惣一を縛り付けてより、拗れて行く。苦しいことばかり。惣一は早くそこから降りてしまえれば良かったんです。きっと。でも、嘉藤が好きだから…。もぉー、これ、ある意味地獄です。最後は天国行きになったのかもしれないです。嘉藤も自分が何を求めているのか。どんどんわからなくなって行くし。それでいいですよね。惣一と嘉藤だけの世界があればいいんです。2人は楽園に行ったんです。本来の仕事に戻りますかとかいう嘉藤の言葉に答える惣一の言葉に胸がじわじわきます。梨とりこ全然の描く表紙が最高に合ってます!この作品世界を簡潔に表現しています。
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