まなざしは蝶の蜜 ~バタフライ・アイズ~
」のレビュー

まなざしは蝶の蜜 ~バタフライ・アイズ~

冬乃郁也/崎谷はるひ

ただのスピンオフじゃなかった!

ネタバレ
2022年6月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ バタキスシリーズは小品も含めて全部読みました。セルゲイは最後まで脇役だと思っていた(というかあまりタイプではないのでスピンオフは欲していなかった)ので、上下巻で出たのにはちょっとびっくり。でも面白かったです。まさか、以前ちらっと登場しただけの気の弱そうな花屋さんが、これほど訳ありでセルゲイを振り回す人だったとは…!
実は今回の主役2人のストーリーは同時に、先行するこれまでの作品に続くバタキスの話でもあって、将嗣を始めとする経営陣たちのその後を読むことができたのが、私には何より嬉しかった!!(姫さんと秀穂とイチロは登場しませんが)千晶くんが当たり前に将嗣の隣で支えていて(穏やかな関係に「良かったね千晶くん…涙」と)、勇気くんもますます存在感ある名脇役になっていて。また、メンバーを経営の「表」と「裏」と「中立・グレーゾーン」に分けて据える戦略には、そうか!と膝を打ちました。姫さん&秀穂のストーリーで、何も知らされない姫さんが悩んでいましたが、あれは単なる意地悪だけではなくこういうことだったのか!と、伏線回収の面白さも味わいました。けっこう深い話で読み応えがありました。ラストをみるとシリーズ完結のようですね。ただ、「柴主さんち」の事とか、はっきりと読者に知らされていない部分もあり、ひたすら行間を読んでいろいろ想像してはヤキモキしていますが、あえて全部描くのは野暮なんでしょうね…でも番外編で読みたいな。
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