おしえて僕の神様【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
」のレビュー

おしえて僕の神様【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

瀧本羊子

神様でいることの矛盾

2022年6月17日
【人の話を聞くだけでその人の心の穴を埋めてしまう真心と友だちとして付き合ってきたが、実は真心への恋心を隠し持っていた慧。高校卒業の日に慧が告白したことから真心も自分の秘密を打ち明けます。それは「自分も慧を好きなこと」と「自分は『かみさま』であること」】

突飛な設定に興味を惹かれました。神様とBL?ファンタジー?どうやら現実世界の話のようで、いわゆる新興宗教のような神様なのでした。

真心は思ったより俗的で、エッチなことにも興味がある、普通の十代男子。それがなぜか人の話を聞くだけで求心してしまうんですよね。本人が嫌なら問題ですが、自分しかできないことなら、と、神様を続けているわけです。そのギャップが奇妙で、コミカルなのに不穏さを感じました。

最後の選択は、良かったなって思います。真心がたくさんの人の心の穴を埋め続けている限り、慧と真心の心の穴は埋まらない。自分と大事な人の心に穴を空けてる神様なんて、本末転倒ですよね。二人のことは二人以外には救えないんだから。

BLとしての葛藤はあまりなく、人間ドラマのように感じました。シリアスだけど暗さはなく、テンポが良かったです。もっとどろどろしてても良かったかも。
今後は真心の特技を活かした別の仕事をして、お母さんと慧とで切り盛りしてくれたらいいなーという妄想をしてます。お幸せに!
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!