真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!
彩戸ゆめ/すがはら竜/一花夜
このレビューはネタバレを含みます▼
国家間の関係性や歴史や陰謀の設定がとても細かく、まるで歴史の教科書を読んでいるような固さがあるし、ヒロインとヒーローの人間性もそれに見合った固さです。真面目で現実的。なのに「真実の愛」だの「運命の愛」だのファンタジーな概念を大真面目にぶっ込んで来るのがなんともチグハグでアンバランスな感じがします。婚約破棄からの、即、次の婚約なんだから「運命の愛」なんて白々しい。合理的なメリットがあるからこそ出会ってすぐ即決されたほぼ政略婚約なのに「運命の愛」とかどの口が言うかと思いきやどうも大真面目に言ってるし、演劇にしちゃえば国民も即納得という安易さも、小説の現実的で真面目な印象からチグハグとアンバランス。しかもその演劇、嘘で国民騙してるのだから「運命の愛」も嘘臭い。策略で始まった「真実の愛」と政略で始まった「運命の愛」どっちも嘘。「運命」なんて言葉使わず、「合理的、現実的に考慮し決定した婚約だからこそ安定した愛を育みつつあります」という感じなら、嘘くさい「真実の愛」に対して本物の真実味があって違和感がなかったのにな。元婚約者の王太子は悪意なく残酷で愚かな行為を繰り返すイラッとする男ですが、なんだかふわっとした悪人で、ふわっとした後悔しかせず、罰もふわっとした処遇で、理に適った現実的処遇ではあるけど、物語としてはなんかスッキリしない。なんだか硬い鋼鉄とふわっとした綿菓子を一緒の皿に出されたみたいな妙な違和感を感じるお話でした
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