このレビューはネタバレを含みます▼
面白すぎます。小林典雅先生には、以前「嘘と誤解は恋のせい」シリーズでもかなり笑わせてもらったのですが(特に3巻)、今作もそれに匹敵する笑いがありました。
主人公リンツェットの境遇はとてもシリアスで、序盤はかなり切ないんです。ひどい環境に押し込められても捻じくれることなく、誰を恨むこともなく生きている心根の良い子なので、それほど重苦しくはないのですが、切なく胸が痛みます。
そこへ現れる運命の相手アラリック。
このアラリックが軽妙でお喋りなとても楽しい人なのです。
リンツェットの不遇の人生を一瞬で払拭してくれる太陽のような人。
この出会いから、お互いが大好き過ぎる溺愛バカップルの激甘ストーリーに大転換します。
これが行き過ぎ気味で楽しく笑えました。
特にアラリックのリンツェットに捧げる愛の歌がかなりおかしい。
二人以外が聞いたら苦笑しか出ない突き抜けたセンス。それをいつまでも聞いていたいと喜びいっぱいで受け止めるリンツェット。面白すぎました。
それでもリンツェットの境遇が不憫すぎるので、どんなバカップルになろうとも、こんなに夢中になって愛してくれる人に出会えて本当に良かったねぇと最後まで微笑みながら読めます。
ハッピーで能天気な溺愛カップルを味わいたい方におすすめです。