犬ほど素敵な商売はない
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犬ほど素敵な商売はない

榎田尤利

まさに、犬ほど素敵な商売はない

2022年6月26日
ろくでもない──無意味で何の値打ちもない──人間と自身を評価し、虚で荒んだ生活をしていた倖生が、犬として、ユキとして、轡田さんに深く愛される様子がたまらなかったです。犬のようにではなく、本当に犬として扱われるという屈辱的な行為に、最初はそれ相応に反発し、人間として犬を“演じて”いた倖生ですが、ある出来事を機にユキは完全に“轡田の犬”になります。個人的にはそのシーンが、倖生の飢えと轡田さんの愛情深さがピタリとはまった瞬間という感じで本当に大好きです…。最後まで読むとよりそう感じます。
本当の犬なので性的な行為は後半まで全然ありませんが、その性的ではない、はたから見れば異常なのに愛に溢れた行為の数々が艶かしくて最高です。(何より、最初はあんなに生意気だったのに、転げ落ちるようにご主人様大好きで従順な犬になったユキが健気可愛すぎる……) もちろん実際に性的な意味をもって触れ合うシーンも濃密で、けれど二人の異様な雰囲気を残したままで、大変満足です。
小説に限らず漫画作品を含んでも、今まで読んだBLの中で特に性癖に刺さるドンピシャ作品でした。
お互いがお互いのために生まれたみたいなお似合いの二人に、永遠の幸あれ…。
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