このレビューはネタバレを含みます▼
ずっと読んでみたかった作品でした。試し読みした時に、柏瀬がなんかいろいろぶっ飛んでて、これ綺麗に着地できるのだろうかと不安だったんですけど、いつの間にか自分こそがどっぷりつかってて、作者さんのすごさに驚きました。というのも、絵的にも言葉的にも結構生々しくて、下手したら嫌悪感が漂ってしまうほどなのに、その背景が見え、想像していたよりもずっと痛々しく、とことん柏瀬に不幸の皺寄せがきていることがつくづく心を貫きます。星谷と心を通わす中で普通の男の子として生きようともがく姿に幸せを祈るばかりでした。
3年後の高校生になっても当たり前のように一緒にいる二人。でもお互い今のままではいられなくて、一緒にいる理由が欲しくて悩みます。今度は星谷がぶっ飛んで、「おいおいどうした!?」ってなりましたが笑、狂おしいまでの恋に切なくなりました。
最終話が個人的にガーンと来てしまって、けど同性愛には必ずといっていいほどぶつかる壁でもあり、そこを17歳の少年達を通してというのがまた儚く、今一緒にいるこの瞬間が尊くもあって、ぐわ〜って心の中で処理できないところでの描き下ろし。3年後の二人の姿が未来をも物語っていて、大爆笑というより泣き笑いでしたね。一緒にいた時間こそが「大丈夫だ」と信じるパワーとなり、手を取り合って未来へと進んでいける、そう感じました。
本のタイトルとストーリー展開がマッチしていて、それぞれの良さが際立っています。読者に考える機会や感動を与える素晴らしい作品です!