ゴーストライター
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ゴーストライター

ひつじま羊

共犯者から恋人へ かなり特殊な二人のお話

ネタバレ
2022年7月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 16歳でデビューした若手作家の光田樹こと光は、書けないスランプに陥っていました。光はふらっと入った本屋で倒れ、ファンだという店員の和泉修一と知り合います。光が書けないことを和泉に言うと、和泉は自分が趣味で書いている小説を使ってくれと持ちかけてきます。その小説が大きな賞を受賞したことから色んな歯車が動き出します。和泉は光を脅して光の家に引っ越して来ると、光のマネージャーを名乗り、光を抱きます。そして受賞作のプロモーション活動をする中、「光田樹は嘘をついている」というメッセージが出版社に届くようになり、それがSNSで炎上します。家族も友達も無く独りぼっちの光は、脅されながらもどんどん和泉に依存してゆくのでした。和泉の目的は何なのか、何故光に近づいたのか。それが読者に明かされると同時に和泉は姿を消し、光は和泉に依存して誤魔化していた自分の狡さに気付くのでした。創作という孤独な作業を通じて引き寄せられた二人が共犯となり、それぞれが相手の存在により新しい世界を開いてゆきます。頼れるイケオジ•編集の多岐さんが素敵でした。
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