蟷螂の檻
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蟷螂の檻

彩景でりこ

闇深い執着と歪んだ愛の果てにある純愛

ネタバレ
2022年7月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっとずっと気になっていた作品、全巻お値下げを機に一気読みしました。いやー、言葉にならない。母親の言葉に囚われ、家に縛られ、兄に魅せられた育郎の拠り所が典彦だった。この独特な世界観、惹き込まれました。設定は昭和?大正?なのかまるで官能小説を読んでいるかのような、、BLという括りではなく素晴らしい作品でした。メリバだとレビューで拝見して結末が気になっていたのですがあの終わり方はお見事でした。ハピエンでもメリバでもふたりが幸せならそれでいいんです。典彦の歪んだ愛がたまらなく好きでした、じわじわと追い込んでくるサイコパス野郎ですが育郎に対してのあの感情は痛いほど解ってしまったから。育郎があまりにもしんどすぎて、飯田と幸せになる方法もあった、少なからず育郎は縋った部分があったのに、なぜ突き放したのか、飯田お前この根性無しめ!とツッコミそうに…。それでも心が求めているのは典彦で、自分を拒絶しないあの大きな掌が好きだったというモノローグにはつい涙が出そうになりました。典彦もかなり歪んでいるけど育郎が好きで、育郎しかいらないんだろうな。賛否両論、意見は分かれると思いますがドロドロしたものが大好きなわたしには最高の作品でした。関連書籍もぜんぶ買いたいと思います。情緒がしばらくどっかいっちゃってたけど、また読み返したいと思います、。典彦と育郎のこの世には自分とお前だけでいいって感じの空気たまらなく滾りますね。ちなみに本編がドロドロのギスギスだけど最後の小冊子読むとより本編が愛おしく感じてしまった笑 シリアスのあとに読むギャグ最高、その逆も然りです笑
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