フラワー・フェスティバル
」のレビュー

フラワー・フェスティバル

萩尾望都

試し読みからは想像がつかず

ネタバレ
2022年7月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みや作品紹介だけでは展開が想像がつかなかったのですが、最後までどんどん読み進めていけました。バレエや家族との関係で悩みどころのあった主人公のみどりでしたが、クヨクヨしていた様子からめげずに自分のできることを精一杯やろうと取り組んでいきます。苦手だと思っていても、自分の意見をもって相手に反論できるようになっていった姿には好感が持てました。みどりと同じバレエスクールの生徒達もそれぞれに共感できるところがあり、レッスンや舞台について互いに反発しつつも、切磋琢磨していく姿に爽やかさがありました。
時折その人物の不安定な、悩ましい感情の吐露が丁寧に繊細に表現されていて、グッとくる場面もありました。でも深刻な根を詰めたようなだけではなくて、コミカルな明るい部分や軽快さもあって、作品全体を通して読みやすいと思います。
あとは、ちょこちょこ見られるバレエの様々な演目のシーンが、その場面に説得力をもち、かつ素敵でした。
読んでいくうちにだんだん登場人物たちの関係性があれ!?っとなってきましたが、最終的に落ち着くところに落ち着いたなというラストもよかったです。
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