告白
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告白

湊かなえ

共感も反感も

ネタバレ
2022年7月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ さすがイヤミスの女王。重い気持ちのまま読み終え、その後3日ほど引き摺ってしまいました。ある事件に関わった人たちの独白形式で話は進むのですが、彼らの身勝手な告白に嫌悪しつつも、でも実際同じ立場に立たされたら私はどうするだろう。女性教師は見事復讐を成し遂げたけれど、これが正解とは思えないです。あれ程少年Aの倫理観を責めておきながら結局は自分も同じ事をしてしまう。彼女はその後の人生をどう生きていくのだろう。生きていけるのだろうかと考えずにはいられませんでした。作中には「倫理」というワードが何度も出てきます。憎しみや絶望は倫理をもあっけなく消し去ってしまう、そんな人間の心理を描いた作品です。重い余韻を残したままの衝撃のラストでした。
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