マンハッタン・プロポーズ
」のレビュー

マンハッタン・プロポーズ

桜部さく/桜之こまこ

短めながら一編の映画のような

ネタバレ
2022年7月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 素晴らしい深みとまとまり。
ライトなBLにありがちの安易な性欲ファンタジーに踊らされない珍しい作品。テーマが至って真面目で重め。まあカトリック系の保守層もほんと酷いからね…。
お互いがかけがえのない人になってからの、心理的ごまかしのない状態まで持っていって、やっと、というかこの二人にはこのタイミングしかないという状態での、正に結ばれるという感じ。
愛する人との交合の本質に迫る感じで良い。
本来の自分を取り戻していく、ふたりで支えあって心の中のしがらみが浄化されていく最終段階の、苦悩を超えた先の神聖ささえあって、誠実な愛の輝きというものがよく表現されていたと思う。
ここまでくるともう性愛ってなんだろうねとまで考えちゃう感じです。
リアルな家族問題や現代宗教絡んでるしフォーカスの仕方によってはかなり重いし、この話自体が愛とは何か、人間の神聖さとは何かというプリミティブな宗教の本質的な部分への問いかけを短いながらも一貫して漂わせている。
BLというよりはヒューマンドラマといった感じかも。
まあそこまで深掘りするには短いんだけども重すぎないギリな分量。
あと読者欲としてはニヨニヨしながら読めるような番外編とか後日談的なものが数話付いてるとよかったかな〜
作品としてはしてこれくらいがベストな気はするけど。
中身にイラストは無いけれど、表紙のアダムが良かった!
読み終わってから見ても感慨深いほど、というよりも読んでから見るとまたイイ。初見でカッコよかったけど、アダムという人をよく表している、そしておそらく圭の前だからこそのイイ表情に思えます。
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