売られた辺境伯令嬢は隣国の王太子に溺愛される
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売られた辺境伯令嬢は隣国の王太子に溺愛される

小椋あん/COMIC ROOM

題名と内容が合わず未だ溺愛要素なし。

ネタバレ
2022年7月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絵柄も美しくて好ましく、ストーリーも作り込みがある程度しっかりしているので薄っぺらくなくきちんと読み込めるし、主人公とレイヴンを筆頭とした側近に好感が持てるし、
本来は良作の部類だと思います。

が、しかし。
題名と内容が未だにすり合っていない。
「隣国の王太子に溺愛される」という、強い恋愛要素を予感させる題名に対し、既刊済みの16巻現在も、一向にその気配がありません。
この流れだと17巻以降もしばらくはまだまだ、状況説明や場面を整えるための展開ばかりで、アンナとケネスの関係性に甘さが匂い始める予兆さえほとんどありません。

ケネス王子側がなんとはなしに、アンナを興味深く、少しの好感を抱いているのであろうなという場面は若干出てきますが、それもアンナ個人を特別に意識してというよりも、普通の令嬢には似つかわしくない珍行動をとる変わった生き物に対する興味・好意に過ぎないと言われれば納得してしまえるだけ淡白なものです。
それよりもレイヴンの方がよほど、アンナを特別に大切にしている様子が伺えるので、見た目があれほど麗しくなければケネス王子よりもレイヴンを推したいほど、今のところケネス王子の良さがありません。
(いや、国を思う王子としての良さはあるのでしょうが、ヒロインを愛する相手役としての甘い魅力がない)

それだけ話がきちんと深掘りされているというのは、物語としては大事な事なのですが、タイトルがタイトルだけに溺愛の甘さを期待して購入すると肩透かしを喰らいます。
1話がかなり短い分、進展も遅くなるのでしょうがそれにしてもこのタイトルでの作品ならば、せいぜい5〜6巻くらいからは、溺愛要素が匂ってこないと16巻にもなっても未だに関係性に進展が見込めないのは、前座が長すぎる…といった印象です。

題名を変えていれば良質な作品の印象が強かったのでしょうが、題名と内容がなかなかマッチしてこない状況が長すぎて、若干痺れを切らしてきているためこちらの評価となりました。
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