明治浪漫綺話
」のレビュー

明治浪漫綺話

音中さわき

完結まで読んでレビュー追記

ネタバレ
2022年7月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 登場人物たちのバランスがすごく取れているように思います。脇役たちはしっかりキャラが立っていて華やかなのに、地味な主人公を食わないで脇役としての仕事を全うしているので主人公の良さを引き立てています。
吸血鬼ものは数あれど、舞台が明治時代の日本を思わせる設定というところにも魅力を感じました。この時代の日本とヴァンパイアって意外と合いますね。
主人公の十和の性格が、少女漫画によくある純粋で素直で真っ直ぐすぎるというだけなら先が読めてしまって興醒めですが、彼女はとても思慮深いというか、一呼吸おいて行動に移すので、次はどう動くだろうとワクワクします。十和がルイスに恋心を抱き始めた辺りで、「これは切ないラストになりそうだな」と嫌な予感がしていますが、物語自体がかなり面白いので最後まで読もうと思います。できることなら、ルイスというキャラがこの上なく切ない存在なので、みんなの幸せを願うばかりの彼が、自身の幸せをつかみ取ってから灰になるなり何なりしてほしいと思います。今はまだ、自分が生きている(存在する)ということが、彼の苦しみだったりするわけで、そんなルイスに一時でも安らぎの時間を与えてほしいと思います。
(追記)めっちゃ素敵なラストでびっくりしました。勝手に予想していた切ない終わりじゃなくて本当に良かった!私は十和という人物を見誤っていたなと思いました。こんな骨のある女性だとは思わなかった~。読み応えもありましたが、読後もしばらく余韻に浸れます。素敵な作品をありがとうございました。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!