うちのちいさな女中さん
」のレビュー

うちのちいさな女中さん

長田佳奈

ジ〜ンと染み渡る良さです。

ネタバレ
2022年7月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『こうふく画報』の作家さま。
とても丁寧な作画で、情緒あふれるお話を描かれる方です。。
物語は何も大きな事は起こりません。でも昭和初期の、家事にも大変な手間がかかった時代の、日常の出来事です。
それなのに、自然と笑みが溢れるような、じわーっと心に染み込むようなお話です。

生前、母が「おばあちゃんは(私の祖母)はお母さんよりもっといろんな事が出来たよ。着物もほどいて縫い直したりしていたし」と言っていた言葉を思い出しました。私も娘に「おばあちゃんはママよりもっといろんな事が出来てたよ。味噌も醤油も手作りしていたし、お饅頭もあんこから作っていたし」とよく話したりします。娘は「私はママの半分も出来ないかも」と言います。
今の便利な生活になって、日本人は出来ることも増えたのでしょうが、出来なくなってしまった事も多いのかもしれません。
このお話を読んで、そんな事を思いました。

作品中、令子先生の過去の思い出が、ほんの少しだけ無言の表情で表現されます。
何か辛い記憶があるのかと思わせる場面ではありますが、
ハナちゃんの、口数は少なくとも真摯に仕事に取り組む姿勢や、好奇心旺盛な心持ちに、その存在に、
とても救われているような気がしています。
丁寧な生活がとっても素敵な作品です。
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