5人の王シリーズ
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5人の王シリーズ

恵庭/絵歩

愛を貫いたドS青の王

ネタバレ
2022年7月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 世界観が凄くしっかりとしていて良かった!色の王様の話というと、アニメ「K」がありますが、あれは7人の王様で、主人公は赤と青の王様。青の王はどちらも人気が高い。このお話の王の印は手の甲に記される王色のティンクチャーでしたが、「K」は大空に出現する「ダモクレスの剣」だったなぁと懐かしかった。
主人公は緑の王で、まだ幼い少年が神の血を受け継ぎ突然王となる。最愛の妹の為に過去に戻り死ぬ事ばかり考えていたセージが、苦しみながらも王として歩み出すまでが書かれています。その中でも準主役の青の王との恋に苦しみますが、あのドSっぷりは凄かった。特に赤の王との事は酷いと思った。昔一目惚れした少女が、実は現在の緑の王セージだと気付いた辺りから、青の王はこのまだ幼い緑の王に辛く厳しく当たりますが、それは未来にあるべき緑の王としてのセージに会う為。その裏には、シェブロンの王として未来永劫パートナーとして一緒に国を守っていくという、未来を見据えた一貫とした深い愛があった。結局青の王は一途な愛を貫いたんだと思う。ルリ問題は、エールからの死に際の遺言とセージとの誓いを守ったのだと理解しています。
赤の王は個人的に好きでした。ハンサムだし、セージが青の姫だと知っていても、貰い受けたいと青の王にハッキリ言った辺りは素敵。でも、もうちょっとその後もセージと青の王の間に食い込んで欲しかった。辛辣な青の王に苦しむセージの癒しになって欲しかった。
グリニッジ様、いい役でした‥。青の王との恋に苦しむセージに、同じ青い瞳を持っていたが為にセージに愛欲を請われて、緑の羽のティンクチャーを宿したただ一人の人。グリニッジの処刑で「彼は私の所有物です。彼の胸には緑の羽のティンクチャーがある!」セージが啖呵を切った辺りは最高でしたね。睨み合う緑の王と青の王の場面は忘れられない。このグリニッジ様がターニングポイントとなり、セージは緑の王への責務と民への責任を自覚していく、大切なキーパーソンでした。生きてて欲しかった。
セージも青の王も、肉親が一番で、それを失いながらも約束と誓いを守りながら恋をした。特に青の王のセージへの忍耐と固い決意の精神力の裏には、セージへの揺るがない愛があった。またセージと妹ヒソクとの最後の夜は涙が止まらなかったです。読み応えがあって、素晴らしい作品に会えて良かったと心から思っています。
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