このレビューはネタバレを含みます▼
とうとう最終回。どんな落とし前をつけるのかと妄想しましたが、そうきましたか…。
血や暴力や男の絡みを惜しみなく描いて、アンモラルな作家と思われがちな気がする朝田先生の作風ですが、今作を読み終えて確信したのは間違いなく常識人なんだなという事(偉そうにすみません!)。
それは佐田と間宮の行く末をああ描いたのが紛れもない証拠。
過去作は、社会のメインストリームから外れた人たちが慎ましくも幸せに生きたいと願い、自分の血を流しながら紆余曲折を経て、希望が見えるかのような結末になっていたはずです。
しかし今作は、己の都合のために(いくら対象が人間的にクズだろうが)人を殺めるという最大の罪を犯した代償は発生すると、ハッキリ描いていたと思います。落とし前は、きちんとつけなくてはならないと。そこに朝田先生の常識人としての感性を強く感じました。
だから残酷で切なすぎる結末ではあったけど、ちゃんとふたり共、初めて愛し愛された。それを知ることができた。そこをギリギリのタイミングで見せてドラマティックにBL漫画として成立させる展開は、お見事としか言いようがありませんでした。特に間宮の切実さには感動させられた。
単純にマッドサイエンティストのピカレスクロマンならふたりは社会のモラルから逃げおおせたかもしれない。
でもスリーピング・デッドは突飛な設定ながら、地に足がついた作家さんが描く、現実的な物語だったんだと思います。ゾンビものという非現実性とのバランスが絶妙で、読み応えありました。
まあまったく個人的な妄想なんですが、小説とか文字に起して読んだら、一層味わい深い作品になるような気がします。