このレビューはネタバレを含みます▼
215ページ。
短篇3つ、中篇1つ、うさぎエッセイ。
作中に、芸術作品とかがちょいちょい「名前だけ」出てくるのが苦手でした。
・『蝶尾』金魚と作家の不思議な話。市松の襖と、金魚鉢を通して歪んで見える背景が良かった。後の部分は説明的で、耽美や幻想と呼ぶには及ばない。もっと絵で見せて。
・『ロザリオス』ロザリオを介してつながっている二人。信仰よりも優先される絆、ある意味背徳的な。これは良かったです。星4寄りの3。
・『アトリエ』自分のすべてで愛した師を失って筆を折った画家と、師の大甥である画学生の話。雰囲気は良いけど、師の目を通して描かれた画家の姿と、画学生の目を通して見た画家の姿の違いが、作中では出なかったのが物足りない。あと細かいですが、モローの「サロメ」がワイルド原作って書かれたのが嫌でした。
・『The day was not fine』変わり者の天才との追いかけっこ。なんか楽しそうではありましたが、刺さらなかった。個人的な趣味として「最近の奴等はなってない」みたいなことを言う「天才」は「ナシ」です。あとがきで作者さんが、B系好きじゃないのがわからない、って書いてたので、気が合わないことが判明しました。そういう風に書いちゃうところが気が合わない。
・『ウサマン』うさぎエッセイ。うさぎを飼っている人には楽しめるのかもしれない。