櫻狩り
」のレビュー

櫻狩り

渡瀬悠宇

誰しもが「愛されたい」と本当は願っている

ネタバレ
2022年7月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人間の弱さが全面的に表現されていた作品だった。その弱さの原因の共通点は、「自分を見てほしい」、「愛されたい」という強い思い。それゆえに、「この人さえいなければ」と他人に矛先を向ける始末になる。そんなことをしても、彼はあなたをみてくれないのに…。
自分の弱さに気づき、認めてあげることがいかに難しいかは痛いほどわかる。それでも、人である限り、人と関わり続けながら弱さを乗り越えていかなければならない。そうして大人の心になっていく、というようなセリフには、私は見た目だけ大人で、心はまだまだこどもなんだと感じさせられた。私は今まで、一度も特定の人に愛されたいと願ったことがない。けれども、結果としては間違ったアプローチだったとはいえ、蒼磨の一途な想いに胸が痛くなった。「愛されたい」という感情の危険さを教えてくれた作品だった。
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