坂の上の魔法使い
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坂の上の魔法使い

明治カナ子

様々な愛の形が素晴らしい作品

ネタバレ
2022年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 古くからある絵本のような絵に惹かれつつも、合わなかったらどうしよう、と長らく読むのを躊躇っていた作品ですが、読んで本当に良かったです。
人間と魔法使いが共存する物語は数あれど、似て非なる作品だと思う。
挿絵ひとつひとつに作者の作り出す世界観と深い思い入れを感じる。

より強靭な魔法使いになることがどれほど過酷であるか。王家との契約にどれほど生涯にわたり苦しむことになるか。長年にわたる主従関係を白紙に戻すことがどれほど困難か。
対等であろうとすること、人を愛すること、自分の信念を貫くこと。それらは自分の命のみならず、一国の運命をも変えてしまう。
愛すること、生きること、死ぬこと、守ること。そういったものが詰まった作品です。
重く切ないストーリーですが、暗くなりそうな物語をラベルの天真爛漫さが光となり、希望に満ちた物語になっています。
BLジャンルでなければもっと広く世に知られるのではないかと思います。
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