このレビューはネタバレを含みます▼
●天才肌の芸術家がポンコツに描かれることは多いですね。作者さんの『これはきっと夢の中のキス』もそうでした。『これは〜』のカフェが本作に登場しているとレビューで知り、改めて探してしまいました!こういうリンク、好きです。(他出版社なのに良かったんですかね?笑)
●本作のポンコツ天才芸術家・堤。卒業前に自分の作品の前に佇み感情を放出する一ノ瀬を見ていて、「あのときフルボッ キした!」と主張し続けるんですけど…それ本人に伝えるときは「一目惚れした」って言うんだよ!!堤は「好き」って言葉を知らなくて、「見たい、描きたい、触れたい、欲しい」って表現する。脱がせて、描いて、触ってくる。凡人の一ノ瀬は戸惑うばかり(笑)
●でも一ノ瀬の方も、少なからず堤を意識してる。学生の頃から。彼の才能に惚れている。彼の描くものが好き。描くときの目に魅入られる。その目で見られると、身体が反応する。触られても、全然嫌じゃない。
●アルバートは当て馬というより、仕事を通して堤と一ノ瀬の関係を再構築させた良い役割だったなぁと思います。一ノ瀬が、アルと比較して自分では力量不足なのではないかと考えてしまうこと、よく分かる。でも堤は「一ノ瀬が担当じゃなきゃもう描かない」と。
●堤はただ一ノ瀬に見ててほしいだけなんですよね。そばにいてほしいだけ。表現はぶっ飛んでるけど単純。それが分かったとき、一ノ瀬も一蓮托生を覚悟します。お互い焦がれる気持ちが根底にあるから、強い。
●『現在進行形〜』ツンな五樹にアタックし続ける廣瀬。五樹がツンな理由が切なかった…。単純明快な廣瀬と、空気に徹する是永、みんな良いキャラです。