このレビューはネタバレを含みます▼
普段からBLばかり読んでいますが、この作品はそんな読者にもある種の気付きを与えてくれる作品です。
1巻から小学生カナちゃんの何気ない好奇心と純粋な言葉、弟の夫であるマイクの誠実な姿勢に父であり兄でもある主人公は何度もハッとさせられる。読者は弥一の気持ちが分かるだけに彼の戸惑いはよく分かるのですが、実は「弥一」=「読者」では?と思うと身につまされてしまって。だからかな、途中から弥一さんの想いや経験をあたかも疑似体験している錯覚すら覚え何度も自問自答し考えさせられました。
これはBL作品ではないけれど、ゲイの人が出てくるしゲイ文化についても触れています。一言で言うと「地に足ついたゲイについての導入本」という印象。
今作は田亀先生だからこそ描けた優しくて心地よい世界があります。弥一が弟に感じていたわだかまりが昇華したシーン、弟の嬉しそうな笑顔に思わず目頭が熱くなりました。本当に読んで良かったです。