このレビューはネタバレを含みます▼
本作の中では様々な人物が、志半ばで死ぬ。思いを遂げられずに死んだりする。しかし彼らの思いは、彼ら自身がそうと知ることはなくとも、何かしらの形で別の誰かに引き継がれ、つながっていく。引き継いだ側の人間は、志半ばで死んだ人間のことなど知る由もない。時には受け継いだという意識すらない。今自分が生きているこの世界はまさに、ずっと太古の昔から、自分が知りようもないたくさんの人たちの思いによってつながれてきたのだということ、望むと望まざるとにかかわらず自分はそれを受け継いだ一人で、すべてのものには脈々と受け継がれてきた命と思いがつまっている。読んだあと、そんなことに思いをはせてしまう作品。読んでよかったのだけれど、回想シーンのコマで、前に使った絵をそのままはりつけて使っているのが、ただの説明っぽい感じがして興ざめ。名作だからこそそういう表現がなおさら残念に感じられた。