催眠術入門
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催眠術入門

カシオ

寝た子を起こす催眠術、雰囲気ある大正浪漫

2022年8月14日
170ページ。
シリーズ連作4篇。
明確に年号も出された大正時代、雰囲気があって良かったです。戦争の話も絡むのが良かった。あの時代を描くのにあたって、無理に避けずにかつやたらとドラマチックにしない匙加減が好みでした。2話目だけちょっとライトな幽霊話。

学生時代からの友人の二人。軽い気持ちで試した催眠術で、気付かなかった気持ちに気付いてしまう龍彦。催眠術のせいで、周の考えが掴みきれずにもどかしい感じで話が進んでいきますが、ラストはきれいにまとまっています。
晩餐会での英語詩(シェイクスピア)の朗読シーンが一番良く、詩のチョイスから周の眼差しに龍彦の反応まで、ピタッと決まった良シーン……そこにチョイ役ながら万里小路郁子お嬢様がいい味でした。

個人的には、阿片が出てきたのにテンション上がりました。やっぱ退廃には阿片が似合うね。
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