コゴロシムラ
」のレビュー

コゴロシムラ

木原音瀬

文才に嫉妬

2022年8月15日
【コゴロシムラ】このタイトルを見てそれが何を意味するのか、想像できる人間がいるだろうか。いや、居ない。だからこのタイトルを片仮名表記にした理由を後になって考えると、木原音瀬先生のような作家を天才と呼ぶのだろうと思う。序盤、主人公が雨宿りをする中で恐怖に苛まれ、読者諸共畏怖の感情に翻弄されます。そして、怖気が走るような魅せ方から徐々に謎が解け始め、それを掘り進めていく面白さ。また、彼方此方に散りばめられた伏線が綺麗に回収されていく爽快感。中でも今回意外だったのは、あくまでも私はBL作家である、という誇りのようなものを感じた時です。一部のコメントから木原先生はBL以外の作品が書きたかったのでは?などと嘯かれていますが、杞憂でした。ちなみに、「欠損萌」というのは、【アクロトモフィリア】とも呼ばれ、四肢が欠損している方に興奮を覚える癖として、実際に存在します。木原先生はこうした癖に対しても大変興味をお持ちのようで、今までの作中にも散見されます。私は、「癖」とは人の奥底にある最も触れてはいけないエロの極地だと思っています。これを書き切るからこそ、木原音瀬先生の作品は面白い。
いいねしたユーザ7人
レビューをシェアしよう!