虎は龍をまだ喰べない。
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虎は龍をまだ喰べない。

一七八ハチ

とても可愛らしい二人…

2022年8月16日
朴訥とした美しい大女の白虎と、生意気でさみしがり屋な小童な龍が紡ぎ出す、互いしかいない寄り添い合い生きていく二人(匹?)の物語です。

友達以上、恋人未満。子供である前に龍、龍である前に男。大人である前に白虎、白虎である前に女。種も違い、性別も違うために互いの事があまりにも解らず、労ってみたり苛立ったり。

デッサンや表現もとてもお上手で、蛇が虎に対して「お前も同じか」という言葉は言葉通りに受けとると「捕食者」ですが、表情などをちゃんとみれば「途中から情が湧いた」という感情が見て取れたりと、普通のコミックとは違い、小説や映画のようにただ読んで字の如くでは終わらず奥深さを感じてしまいます。

またその表現力の豊かさゆえに主人公達を取り巻く周囲に対しても敵味方関係なく愛着が徐々に湧いてきて不思議な感覚で素晴らしい作品だと思います。

巻が進むと愛情故に哀しい結末を迎える者も多々居る模様で読み進めるのが少しつらいと感じる時があるかも。

付いたり離れたりと難しい性格の二人に対し関わっていく様々な命達の、それぞれの思惑や生き様の違いが重なり織りなす不思議なストーリーで見ごたえがあります。先がとても楽しみです。
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