#50日後に離れるBL
」のレビュー

#50日後に離れるBL

りんこ/三原しらゆき

メメント・モリ

ネタバレ
2022年8月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 50日と区切って、1日4コマの1ページづつ、別れが来るまでカウントダウンされていきます。
某100ワニ形式ですが、BL読みに対して特化した描き方がなされています。(当たり前ですが汗)
4コマ、または一コマが雄弁でとてもエモいです。
吹き出しの中が書き文字なのも味があって好きです。
書き下ろされた小説部分は「活字で抜ける」くらいにエロく幸せで、しかも哀しいです。

→→→→→以下ネタバレ感想です。。。

あの事故の日は魂の恩赦的な奇跡が起こった日だったのか?
裏路さんも「チャンス」とおっしゃってますし。
そう捉えると物語の裏に宗教めいた流れを感じます。
読んでいる間、物語中の2人の視点・カウントダウンしながら俯瞰している自分の視点・確認出来ないが有るかもしれない神や仏の気配の、3つを感じていました。
雅美を残して逝った洋ちゃんの思いはすごく良く解ります。
しかし残された雅美は、本気で本当に連れて行って欲しかっただろうな〜と。
1人残されてやり切れない闇と、奈落に突き落とされる絶望と、引きちぎられる心の痛みで、身動き取れない狂気に苛まれそうです。
描き下ろしマンガでそんな事は無いとわかって一安心しました。
………
さて、逝った者と残された者の物語から受け取ったのは『メメント・モリ』という概念でした。
生あるものは必ず死ぬのは当たり前でみんな知っています。
だけどそれが「自分」もであり、「今」かもしれないという事は常に失念しています。
そうじゃなければ死を恐れて上手く生きていけないからかもしれません。
しかし今作の雅美のように、心臓が止まるその日を意識しながら、キチンと生き抜く決意をする人の、なんと潔く美しいことか!!
それを読めただけでも大満足な作品でした。
そう思わせる巧さと真摯さがこの作品には備わっています。
Twitterで連載されて読んでいた方もいらっしゃるかもしれませんが、是非まとめて読んでいただきたい。
もちろん、エロい小説部分も楽しんでいただきたいです。
修正は……そもそも隠す部分は描かれていませんでした。
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