このレビューはネタバレを含みます▼
幼稚園児のジュンは、お父さんのヨキと鳥の着ぐるみを着たお母さんのリオと暮らしています。読み始めは、とぼけた顔をした着ぐるみが気になるのですが、登場人物が皆ごく普通に接しているのですぐに気にならなくなります。優しいお父さんとお母さん、その友人でちょっと意地悪なレイや幼稚園のお友達との日々が、お誕生会や夏の日のプール、クリスマスやバレンタインなど季節を追って語られます。その中で、リオが着ぐるみを着る理由とともに、施設で育ったリオの温かい家族を持たなかった過去と、家族への焦がれるような憧れとがわかってきます。着ぐるみという設定も、穿った見方をすれば「世間から求められる母親像」と言えるかもしれません。それがとぼけた鳥の着ぐるみでも、子供や家族、自分を守る為に時に応じて上手に身につけることは結構身近でよく知っている行動かと思います。冒頭でリオの姉が『オズの魔法使い』を引き合いに「どこでも行ける魔法の靴で家に帰るなんて」と言い放つのですが、魔法の靴を使ってでも帰りたくなる3人の素敵なお家のお話です。サンタさんと精霊のエピソードも良きでした。