愛しの腹黒弁護士
」のレビュー

愛しの腹黒弁護士

ゆりの菜櫻/葛西リカコ

どっちもどっち…割れ鍋に綴じ蓋の腹黒カプ

ネタバレ
2022年8月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 色んな意味で面白かったです。前作『愛しの官能小説家』のスピンオフという事で桐生弁護士が主役と分かっていたので、てっきり『腹黒弁護士』は桐生だと思っていました。ちょっと気分が塞ぎ込むと藤沢や静谷をからかって憂さ晴らしをするような(根性悪の)桐生が、先輩弁護士の長谷川には振り回されっぱなしで言いなりになっているのが笑えます。いわゆる「攻めざまぁ」の気持ちが少し分かるというか、スカッとします。そんな感じで楽しく読み進めつつも、途中隆一(長谷川の息子)の言動が謎だったりしますが、ラストで種明かしされて「なるほどー」と、思いました。他にもチラホラ小さな綻びはあった気がするので、勘のいい人は見逃さないでしょうから、中盤くらいで先が読めてしまうかも。最後の最後、長谷川の本性が明るみになった時は、軽い衝撃がありまして、「え…そこから?そんなに?そうまでして?」と、綿密な計画性に一種独特な怖さがありました。桐生なんて可愛いもので、長谷川の闇系執着はちょっとしたトラウマレベルな気がします。でも、「そこまで想われるのは羨ましい」と思ってしまう自分もいて、複雑です。それで、結局「腹黒弁護士って…どっち?」なのでしょう。広義の意味では両方な気がしますが、主人公(桐生)から見ての長谷川でしょうか。そういう事を考えるのも楽しい作品でした。
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