BANANA FISH
」のレビュー

BANANA FISH

吉田秋生

くたばらないように生きるのが精一杯

ネタバレ
2022年9月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読んだ後ずっと考え込んでしまいました。どうしたらアッシュは幸せに生きられたのか、、、。銃がなかったら幼い頃身を守れなかったし、銃があったからこんなことになってしまったというシーンもある。アッシュは悲劇を回避して生きる道ってあったんだろうか。もしないのだとしたら、あまりにも辛すぎる。
と、読了後にいろいろと考えさせられるような作品はとてもいいです。
最後のエイジからの手紙は、涙なしには読めませんでした。
「ぼくは運命から君を守りたかった。君を連れ去り押し流す運命から」
そう、本当にこれなんですよ。アッシュの意向なんてまるで無視するかのように、アッシュの人生はなにか大きな運命に連れ去られ、押し流されてしまっているようなのです。長いストーリーを描いてそののち、この人生をこんなふうに表す表現力は本当にとんでもなくすごいと思いました。
後に語られる番外編の中で、アッシュが残した文を読むと17歳にして未来の世界情勢、経済の予測までしていてギャングをやる傍そんなこともしていたのかと驚かされました。
アッシュが生き延びるために仕方なくやっていたことを全て排除して、もっと有意義に過ごすことばかりできていたらどんなによかっただろうと、そうした後日談を読むたびに悲しくなります。
名作と聞いていたので読んだのですが、これを知ってしまったら読む前の自分には戻れないと言われるのも納得です。
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