Only mine
」のレビュー

Only mine

加東セツコ

作者様らしいスッキリきれいな5つの短編

ネタバレ
2022年9月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作はタクシードライバーの新妻とリーマン矢倉のお話。急いでいる矢倉を見かねて乗せたことから新妻を指名してくれるようになった矢倉が、出張の長距離を予約してくれます。制服に密室、時間さえ思いのままというタクシーのポテンシャルの高さに目から鱗でした。『おもいめぐらす』社内ですぐに角突き合わす二人が犬を介して急接近します。それぞれ色々と策略を巡らせます。『誰より願う幸せは』ブライダル業界に転職した水野くんと、そのきっかけになった憧れの明日見さんとのお話。ひとを幸せにするお手伝いをする二人が、自分が相手を幸せにしたいと心を決めます。『ぼくの自慢の恋人です』千賀の会社にバイトとしてやってきた学生の桜庭は素直で可愛く二人は相思相愛となったのですが、千賀は皆に言うことができません。ゲイCPにあるだろう葛藤が優しい目線で切り取られます。『木曜日の夜、銭湯で』進学して一人暮らしを始め、銭湯に通うようになった佐倉を、同じ学部の高沢が自分の家の銭湯に誘います。料金を安くしてフルーツ牛乳もくれる高沢はいい奴なのですが、佐倉の体はきれいだと言ってやたらと見つめてくるのでした。いずれも作者様らしい独特の世界です。
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