このレビューはネタバレを含みます▼
7つの恋の物語。話の始まり部分だけみたいなのもありますが、それぞれとてもよかったです。表題作は中高といじめられているゲイのお話でいじめグループの男の子と本当はきっと好き同士なのだけど、周りにはやし立てられてひどく暴力を振るったりして。その続きのお話を読んでより一層ツラくなるのですが、やっぱり一番印象に残りました。いじめられっ子だった直樹が大人になって元気ハツラツやっていて、でもいっぱいツラいことを経験してきたんだなって感慨深くて、今が幸せそうなのが本当にうれしいです。落語のお話も好きです。ボロい乾物屋の跡継ぎって、今から考えると2、30年前は人間の一生って決められていたなあって思います。しがらみがなくなって置いてきたものを取り戻そうとするこういうお話好きです。未成熟なキラめきがまぶしい一冊でした。「太陽の下で笑え。」「水温む」が関連作らしいのでそちらも読もうと思います。
2000年3月 総196ページ 修正=見えない構図