ゆびさきと恋々
」のレビュー

ゆびさきと恋々

森下suu

絵は本当にきれいだけれど…

ネタバレ
2022年9月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 森下suu先生の過去作品を全部持っています。
マーガレット時代からとても好きです。ファンレターも出したことがあるほど好きです。その上で、ここ数年で大大大ヒットしているこの漫画にちょっと疑問が…
(この漫画を批判すると非国民のような扱いを受けそうで本当に怖いけど。。。)

逸臣&雪、エマ&心の顔面最強カップルが文字通り強すぎて、今までの作品の中で実は1番現実離れしているような気がします。
この4人は外見だけじゃなくて中身も最強で、一途でかっこよくて素直で前向きで一生懸命で(エマは若干こじらせていたけど)…。外見も内面も既に最高潮で、この先どう転んでも彼らの外見と性格ならうまくいくことが約束されています。この2組がこの先「うまくいかない」ことなどあり得ないと、確定しているように感じます。

聴覚障害があってもピュアに前向きに恋や自分と向き合っている雪を、「健気」「かわいい」「応援したい」と思う気持ちは当然あります。ただ、家族や友人、恋人からここまで愛されて関係をうまく築けてしまうと、雪の「聴覚障害」がかすんでしまう気がします。聴覚障害ってこんなに簡単に世間に受け入れられるものなのかな…。家族や友人から愛されているという設定はわかるし、現実にもそういう人はたくさんいると思うけど、それならなぜ「聴覚障害者」を主人公にしたのだろう…。障害と恋愛、障害と人生をテーマにしたかったわけではないのかな。

恋愛で言えば、逸臣さんが完璧すぎて桜志やエマを登場させる意味がかすんでしまって…。エマはめちゃくちゃ美人で逸臣が大好きだったのに、雪には1ミリも勝てず退場。(でもめちゃくちゃイケメンでモテモテの心がずっとそばにいてくれて結局そっちと丸く収まる。)
桜心に関しては全くいいところなしで、好きな女の子のために中学生で手話を覚えてずっと気にかけていたのに、当の本人からはビクつかれるほどがさつで横暴で「遠い」存在として描かれていて…。大学の友人には恵まれているけど、その程度の「恵み」は逸臣・雪・エマ・心にもあるわけで…。

とはいえ、コミックスは全巻持っているし、最新話まで読んでいるので、売り上げにはしっかり貢献しているファンです。森下suu先生ファンは、みんな『ゆびさきと恋々』も好きなのかな。私はちょっとモヤモヤです。
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