このレビューはネタバレを含みます▼
●ずいぶん前に『左』を拝読し、そのうっすらとした記憶をたどりつつ、『上下』→『右』→『左(右をめくりつつ)』→もう一度『上下』→もう一度『右』と読んだら泣いてしまいました。二人の積み重ねる時間が、愛おしくて愛おしくて仕方ありません。
●作者さんが『左右』を“双子の本”と表現されてます。実際描かれた時期も重なっていて、作中の時間軸も重なりがあります。表と裏。鏡に映った右と左。
●こちらの『右』は、としおの誕生日から始まり、翌年の誕生日まで。クリスマス、初詣、進藤の誕生日、そして『左』の内容に絡んだ“引っ越し”も。カメラという道具との出会いもありました。としおの描く絵日記を追いかけながら、二人の日々と感情に思いを馳せます。
●『左』を読むと、あの出来事の一方で『右』のような時間も流れていたのだと、安堵したような気持ちになります。二人の絆…と表現してしまうとなんとも安直で平凡な感じになってしまいますが、その結び付きを感じて、いろんな感情が胸を迫り上がってくるのです。ああでも、数年後、数十年後に一緒に撮る写真には、どんな姿の二人が写っているの?そこだけが、私は不安で仕方ない。
●『右』単体では全く意味がないと思います。『上下左右』でワンセットです。そして是非2巡目を。私もこれからもう一度『左』を読みます。また感じ方が変わりそうです。