スタジオカバナ
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スタジオカバナ

馬あぐり

青春

2022年9月18日
アオイハルって書いてセイシュンって読むよね。
いつしか青春は遠いものになってしまった。
それだけ自分が年齢を重ねたわけで、それは悲しいことだけではないはずだけど、でも時々寂しさを感じることもある。
それは青春という、過去にあったかもしれない、ありえたかもしれない何かが失われたことへの寂しさだ。
そういう寂しさを感じるのは、こういう素晴らしい漫画を読んで、自分にとっては遠くなってしまった青春を目の当たりにした時だ。
普段はその青春というやつは遠い遠い先にあって、ほとんど見えないし、それがあったことさえ意識しない。
でもこういう漫画を読むと、望遠鏡をのぞいた時のように、はっきりと、遠くにあるはずの「それ」が見える。
「それ」は今見ると本当に真っ青で、春に吹く風のように鮮烈だった。
でも実際に「それ」を体験していた時にはそうとは感じなかった。
「それ」が、自分にとってのアオイハルだったのだと理解できるのは、こうして年を取って、遠く離れたからなのだろう。
スタジオカバナ。
私にとっては青春時代をのぞく望遠鏡の名前だ。
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