累る-kasaneru-
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累る-kasaneru-

凪良ゆう/笠井あゆみ

辛く悲しいだけじゃない!幸せが待ってる!

ネタバレ
2022年9月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 笠井先生不足になってしまったので、笠井先生の作品一覧を見ていたところ、これはまだ読んでいなかったのに気づき、しかも凪良ゆう先生ですって!?完全に見落としてました…(>人<;)めちゃくちゃ私好みで面白そう!ということですぐさま購入しました。

主要な登場人物は4人。異母兄弟の七緒と奏人、そして2人に関係するオワタリと四郎。家族になった日から手を取り合ってお互いを支えてきた兄弟が、その感情の所以を恋愛感情だと気付くのは難しくはなかったものの、夢が2人の関係を揺るがせていきます。「奇妙」から「恐ろしい」に変わって徐々に現実味を帯びていく夢。そこで登場するのがオワタリと四郎です。おかしいのは閉鎖的な村であり、村民であり、習わし。オワタリと四郎は純粋そのもので、2人の時間こそがお互いを癒し、唯一人として、自分として息ができる、お互いが本当に大切な存在になっていきます。特に、話せない四郎のオワタリへの想いが健気でいじらしく、四郎の行動一つ一つに共感しました。だからこそ2人の運命がひたすらに悲しく悲惨で、苦しさと怒り、絶望、虚無感で涙なしでは読めません。オワタリの最後のあの言葉が兄弟に受け継がれ、物語が終わってもこの先の未来も想像でき救われましたし、本当に良かったと今度は幸せで泣いちゃいました。

ラストまで気が抜けない展開でハラハラドキドキし、残りのページ数でスッキリ終えることができるのか不安にもなりましたが、全ての伏線をしっかり回収する凪良先生の力量に改めて驚かされ、まさに圧巻・アッパレです!人のずるさとか残酷さも描かれているのですが、それに負けない言葉の表現の美しさに何度も唸りました。エロは少なめで、笠井先生のイラストをもっと拝みたかった気持ちもありますが、作風とのピッタリ感が半端なく、扉絵の美しさに昇天し、何度も戻りました笑。凪良先生、笠井先生のダブル巨匠に描いていただき、4人も鮮やかに、色濃く作品の中で生きていくことでしょう。私もずっと一緒にいたいと思える2カプに出会えて幸せでした。
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