どうしようもない僕の運命の恋
」のレビュー

どうしようもない僕の運命の恋

未散ソノオ

童話のようなとは言い得て妙

ネタバレ
2022年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 出版順で言えば「おまえでダメならもうダメだ」のスピンオフとなるだろうけれど、お話の順番としてはこちらが先。
読中でも読了後も余韻に浸る。うん、運命の恋そのもの。いつでもどこでも逃げるために何も持たなかった幾。逃げたくて解放したくても掴んでいたミト。逃げるにはエネルギーが必要。擦り減った幾に、壮絶な過去を持つミトが救いを求めることで、幾も救われた。魂の救済、生きる力、光を享受できる力の醸成。ペガサス、馬の絵がキャンバスなど枠に囚われない描き方になっていったのも解放の象徴のよう。
どちらもセレブだけど、幾をクズと呼ぶけれど、人には見えない苦しみと闇があるもの。ヤトも玲音も救われた。ヤトの半身だからこその苦悩、罪悪感までも幾は洗い流した。ミトは幸せを掴めたから、ヤト自身も幸せになって欲しい。八雲はこれから幸せになれる。ドラマティックで純粋で、人を愛することの明るさを教えてくれる。とてもとても素敵な作品です。
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