それは春の終わりに
」のレビュー

それは春の終わりに

野白ぐり

穏やかな季節の終わりに訪れた初めての嵐

ネタバレ
2022年9月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 桜咲く春、入社2年目の天川春は異動になります。誰にでも人当たりが良く穏やかな性格の春は、その名の如く、喜怒哀楽といった大きな感情の起伏も無いポワポワした人生を送ってきました。そんな春をお子様と笑う中原と異動先で出逢ってから、春は中原のことが気になって仕方ありません。気さくなのにふいっと冷たくなる中原とのちょっとした会話に一喜一憂し、これが恋なのだと春は思い知るのでした。一途な春に、年上の中原は「ちょっと俺と遊んでみる?」なんて言ってきます。中原に相応しい大人になりたいと願う春は、ほんわかしたお子様な顔の下に思いがけず冷静で強かな面を見せるようになってゆきます。それとともに遊び慣れた大人の中原の意外な内面も現れてきます。春の終わりに訪れた嵐のような心の大波を越えて春の初恋は成就します。春のふんわりしたキャラにはピッタリの絵柄ですが、表情の描き分けがわかりにくいところがありました。それ以外は楽しく読めました。
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