犬も喰わない
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犬も喰わない

彩景でりこ

男三人の関係性に頭を抱える

ネタバレ
2022年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●表題作5話と、『写真〜告白〜骨』の一連のお話。どちらも三人の男が交錯する。肉体的な3Pはありません。三角関係とも違う。この関係性を、どのように咀嚼してどのように表現したらいいのか…正直なところ、私には難しかったです。共感しづらいというか…
●表題作。追う奥園と追われる山代。経歴を追い、持ち物をくすね、女を奪い、ついには妻まで。追い追わせることで、互いの自分に対する執着を確認するという、尋常ではない関係。学生時代の山代が、奥園に奪わせるためだけに友人と関係を持ったのはゾクッとした…
●「奥園に奪われるもの」になるために山代に近付く空木もどうかしてる。それによって山代と奥園の関係は動くわけですが…。山代と奥園が、どこを気持ちの落とし所にしたのか、どうしてそういう結末になったのか、私には分からないんですよ…残念ながら。難しかった。
●表紙は空木と山代なんですね…奥園目線なのかなぁ?2話に突然スピンオフが入ってる構成も不思議でした。
●『写真〜骨』こちらの三人もまた…。乙彦は大悟を密かに好きだったが、大悟は自分の妹と結婚した。正毅は乙彦を好きで、「大悟に抱かれていると思え」と言いながら乙彦を抱く。大悟はとにかく実直で鈍く、乙彦に関しては“大切な親友で家族”以外の何者でもない。そのくせ正毅の乙彦への気持ちを言い当てたりする。
●乙彦は正毅の自分に対する気持ちに気付いてた。乙彦の気持ちも、正毅に移っていたのではないのか。なんて不毛で面倒くさい二人…。骨になってようやく、正毅は乙彦を手に入れた。それでよかったのか…?
●分かりやすいBLをお求めのかたには向きません。全編通して、それぞれのオジサマたちの心情に寄り添えるか、否か。
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