このレビューはネタバレを含みます▼
未完です。この一冊はプロローグで、これからBLになっていくのでしょう。なので、まだBがLしてません。でも、この一冊で完結してしまっても、自分的には満足したと思います。
不可逆性の向日葵は、主人公博生の亡くなった兄を象徴、もしくは兄直生そのもの。家を出て男と暮らしていた8歳年上の直生が亡くなり、博生が遺品整理にアパートを訪ねるところから始まります。亡くなった兄のアパートから現れたのは、紛れもない兄の直生で、博生は兄のアパートを訪ねる度、過去の兄と会うという不思議な体験をします。その中で、「家を出て男と暮らしていた」兄の、生身の感情や生き様に触れるのです。それは、博生だけの体験ではなく、直生と同棲相手の美郷も共有していました。博生の気持ちと近づいても、不可逆性の向日葵にもう触れる事は出来ない。残された者は後悔や、癒しや闘いを続けるのです。もう、生死が苦手という事ではなく、生きている人達の気持ちに泣けました。後悔しても未来は過去を変えられないので、今を大切にするしかないのだと。何気ない毎日や家族を思うと、涙が出ます。
これから、続く先、完結した時に、またレビューを書きたいと思います。