あれは閃光、ぼくらの心中
」のレビュー

あれは閃光、ぼくらの心中

竹宮ゆゆこ

クマのヘアゴム

ネタバレ
2022年9月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ エモさ全開!萌え度200%と素敵なカバーイラストにつられて、久しぶりに読んだ小説。400ページ弱の長編小説だが、ホストに拾われた家出少年が汚部屋をきれいにするというエピソードを軸に一気に読ませる勢いを感じた。日常生活でささやかな幸せを感じ、心が通い合ったふたりが、火事騒動の後に離れ離れになるシーンは確かにエモかった。そして、心の中でずっと泣いていた弥勒が切ない。心を殺して汚部屋で暮らし、姉の罪を一緒に背負ってきた。親ガチャだよね。別の環境だったら、バスケのうまい爽やかなイケメンDKとして生きられただろう。それでも、大切な人との出会いで人生は一変する。後先のことなど考えず、感情のおもむくままに、結果はどうであれ、行動を起こした方がいいと強く思った。ラストで嶋がジャズピアニストとして大成し、弥勒と再会する。一度は死んだふたりの感情が爆発する。クマのヘアゴムはふたりの運命の絆だった。生きていれば何かいいことがあるのかもしれない。10年の間、弥勒が何を考え、どう過ごしていたか知りたくなった。改めてスタートラインに立ったふたりの関係がどうなるのか、とても気になった。続編が読みたい。4.2
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