シュガーコード
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シュガーコード

夏目イサク

楽しく読みたい時に

2012年1月18日
目の前で倒れたのを見過ごせず拾って帰った男は実はヤクザ。
そのまま居着いてしまった男は、いつの間にか主人公のヒモのような存在になっていた……

なんていったらドロドロしたストーリーを想像してしまいそうですが、これはそういうヘビーさをあまり(というか全く)感じさせず、サクッと読めてしまうBL作品です。
この手のお話には必須といえるエロ要素もあっさりめ。
エロを重要視せず、明瞭、明快なお話が好きな方向きです。

まるごと一冊、大土井(鈍感ヤクザ)×高木(情に篤いアパート管理人)のお話なので、出会いから結ばれるまでを順を追って堪能出来るのはいいところ。
大土井の、怠け者で鷹揚とした、ヤクザ嫌いのヤクザというキャラ造形が面白い。
高木くんの飼い犬、タイショーもたまらん可愛さ。


ただこの作家さんのお話、総じていえる事は「軽い」
決して悪い意味ではなく、読みやすさ、軽妙さに繋がっているのですが、あまりの軽さにツッコミたくなる事もしばしば。
肝心な決断がそんな簡単でいいの?
もっと他に考えないといけない事あるよね?
そのさっぱり潔いところを魅力ととるか、浅いととるかは人それぞれかと思います。

人物造形は嫌みがなく魅力的だし、ストーリーも起伏があって飽きない。
あまり深読みしてハラハラしたりせず、安心して最後まで楽しめるお話を書かれる作家さんだと思いますが、それだけにあまり重くなりそうな題材よりも日常的な題材のほうが本領なのかな?
そんな事を考えてしまったお話でした。
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