虐殺ハッピーエンド
」のレビュー

虐殺ハッピーエンド

宮月新/向浦宏和

情け容赦ないデススパイラル

ネタバレ
2022年9月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本当に救いようのない物語でしたが、登場人物の誰にも感情移入しなかったので、割と淡々と最後まで読めて、読後もモヤモヤしませんでした。
でもまぁ、主人公はひたすら不憫でしたね。もうこれ、こうなるしかないというか、どうしようもないよねとしか言いようのない展開で加速度的に闇落ちしながらも、最期までギリギリ自我を保っていたのが何より残酷でした。普通なら初期の段階で崩壊していると思います。
つい、何故こうなったのだろうと考えてしまいますが、最終的には自分の行動の結果なんだと思います。生きていると「何故私(もしくは自分の大事な人)がこんな理不尽な目に遭わねばらならいのか」という状況が訪れることがあるけれど、考えてみれば生まれてこの方、私の行動は私が決めてきたんだったと思い至ります。意識的にでも無意識にでも、例え選択肢が生きるか死ぬかの2択であっても、やるかやらないか決めたのは自分。その自分の選択の先にあったのが、今の状況だというだけのこと。そして今までの結果を踏まえて次の行動を決められるのも、もちろん自分だけ。
主人公はどんどん狭められていく選択肢の中で、自分の求める結果に最善と思われる方を必死に考え行動していき、最期まで生き切った。なんかもう、あっぱれとしか言えない。お疲れ様でしたって感じですね。一高校生がここまでのことをやり遂げたのを見ると、主人公は特別強いエネルギーを内に秘めて生まれてきたことがうかがえます。このエネルギーが別の方向へ向けられたら、何かデカいことを成し遂げられたでしょうに、残念です。
妹は命を繋げましたが、これから地獄のような毎日になる可能性が高いです。兄の生き様に思いをはせて、妹にはこれからを強く生き抜いて欲しいです。といっても、呪いが解けたかどうかは全く分からない状態で完結しているので、死ぬまでループし続けるかもしれないですが・・・。妹にとってはその方が楽かもしれないけれど、瀬戸君や加奈ちゃんにしたら「ギャー!!」ってなりますよね。何か良い解決策が見つかるといいですね。
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