沈まぬ夜の小舟
」のレビュー

沈まぬ夜の小舟

中庭みかな/テクノサマタ

ドキュメンタリーみたいだった

ネタバレ
2022年10月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ どうなんでしょうね、こういう話って。私としては、物語にはある程度ファンタジー要素が必要なのではないかと思うのです。しかし、このお話はおそらく全てがフェイクであるだろうに、まるでどこかに実在する不幸な子供の話を語っているみたいに感じるのです。
主人公は少し発達障害の気がある少年で、どんどん悪い方向に向かって行ってしまうのですが、彼を取り巻く大人たち全てが他人事のようになんとく見過ごしていきます。全く助けを出さない訳ではなく、ほんの少しだけ手伝う。自分の良心が痛まなく、あまり煩わされない程度に。その様子がまるで「これなら一人で生きていけるよね!?ね?!」と脅迫しているかのようです。この辺りが本当に現実味がありすぎて複雑な気持ちになりました。
物語はとても丁寧にそして少しずつ進んで行くので読み易いとは思います。飽きることなく上下巻を一気読みする事が出来ました。
でも冒頭で申し上げましたが、私は物語を読みたかったのであって誰かの不幸なドキュメンタリーを読みたかったわけではないのです。ましてやこれはフェイクですし。そのフェイクにこのお高い価格。
そんなこんな諸事情込みで読み終わった私に残ったものはモヤモヤした嫌な気分だけでした。私はこの物語から何を感じ取れば良かったのでしょう?何が正解だったのか。難しくて私にはわからなかったのか、何もなかったのか。。せめて最後ぐらいスッキリしたかったかなと。ペンペン草には悪いけど、ペンペン草って褒め言葉ではないですよね。物語を読み進めるうちに降り積もった鬱々とした感情がそうさせるのか、私にはネガティブにしかとらえられませんでした。心が弱っている時は読むべきではないお話だと思います。駄文長文と失礼いたしました。m(__)m
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