夜明けの唄【単行本版】
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夜明けの唄【単行本版】

ユノイチカ

世界観について重箱の隅をつついてみる

ネタバレ
2022年10月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絵が最高に好き。エルヴァが可愛いし健気で幸せになってほしいからメリバだけは回避してほしい。
覡様たちが揃いも揃ってイノセントなのがいたたまれない気持ちになるけど、結末が訪れる頃には今までの犠牲が報われるくらいの何かがあったらいいな。

◇3巻で世界観がガラッと変わった件、「実は外に現代と変わらない世界があってそこから来た人たちがスマホやタブレットを使っている」までは承知した。
それらの端末をオフライン作業だけでなく島の外部との通信にも使えてるってことは島内のみの閉じたネットワークではなく外部と互換性のある(=不思議な力とかではない)wi-fiみたいなものが飛んでるってことだと思うけど、基地局や大きなアンテナは?モバイルルータを持ってるにしても大もとがないと使えないし。

技術考証漫画ではないから何もかも厳密に設定されなくて当然だけど、現代の存在を持ち込むならさすがにネットワーク問題は設定に入れておいてほしいな。
4巻以降で【権力者以外が近寄れない設備があって、大きな柱(アンテナ)のようなものがあるのは島民も認識しているけど正体を知らない。実際はそこで通信インフラを制御していて…】みたいな描写があるとか?

ファンタジーでフォークロアな世界観だった島に突如「現代」の存在が介入してきたまではいいと思う。
世界観をひっくり返すような話の持っていき方って刺激的で驚きがあってすごくいいと思うけど、それまでの物語の中であまりにも双方の世界観が隔絶されすぎていた。
厳格な箝口令や機密保持の仕組みが敷かれていたとしても、ヒューマンエラーの賜物という感じでで何かしら前振りをしておいてくれたら驚きと共にもう少し納得感を伴って受け止められた気がする。

初めの方から些細な部分で「この違和感はなんだ?」「なんか文明や技術の程度がちぐはぐな部分がないか?」「権力者たちが(読み手は知ってるけど島民にとっては聞きなれない)外来語を使うことがある」みたいな伏線というか匂わせみたいなものを忍ばせておいてくれたらよかったな。
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