恋が、あの夏にある【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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恋が、あの夏にある【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

牧コチコ

キラキラした恋がバトンタッチされる夏

ネタバレ
2022年10月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大学生の涼太は亡き祖父の遺品整理の為に夏休みに帰省します。祖父宅の片付けをしていた涼太は、生垣越しの離れにいた青年•千鶴と話をするようになります。身体が弱くて学校にも行けなかった千鶴は世間のことを何も知らず、東京の暮らしに馴染めない涼太には千鶴と過ごすゆったりとした時間がとても楽しいのでした。けれども千鶴は苦しそうな咳をし、だんだん痩せてゆきます。夏の暑さがマシになったらバスに乗ってスタバに行って映画を観たりデートをしたいねと口づけた二人でしたが、その帰りに涼太は千鶴の兄に呼び止められ、休暇中の遊び半分ならもう来ないで欲しいと言われるのでした。遊びではないけど夏休みが終われば東京に戻らなければならない涼太は何が形に残るものを千鶴に残そうとラムネを渡します。飲んでみたかったと千鶴は喜び、ビー玉を大切に手に取り、身体が弱くて出来なかったことも生まれ変わったら出来るかなと呟くのでした。涼太が千鶴と会えたのはそれが最後で、パニクった涼太は年下の従弟の一生に相談します。夏という季節の持つ陽炎みたいな儚さと不思議な出逢い、命の繋がりとそれぞれの恋心とが織りなすファンタジーです。さらに今を生きる恋人たちの心の葛藤と昇華も丁寧に描かれた良作でした。
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