戦争を知らない私たちが学べるもの





2022年10月8日
戦時下という特殊状況にあることがわからなくなるほど、そこには日々の暮らしがあった。のんびりしているようにも感じられるほど、日常が過ぎていく。
しかし家族の勤務先がその状況に沿ったものであったりして、嫁ぎ先呉が軍港都市である性格ゆえに、主人公すず達の生活はその呉の運命と共にあった。主人公達の毎日は、親が男兄弟が実家が婚家が近所が、その様々な共同体の一構成単位で直接間接に軍に人手を供給。日々は食糧確保に家庭の切り盛りに近所付き合いの枠をはみ出した「隣組」にと、工夫も必要。田舎ののどかな時間進行を背景に持ちながらも、正に戦争の真っ只中だ。のほほんとしたすずでさえ否応なく、遠かった軍靴が日増しに近づくことに無関心とはいえず、港に出入りする戦艦を眼下に眺めて、目の前のことにひたむきに取り組み、周囲の人たちと協力しあって毎日をただ精一杯生きていて。いとおしいほど人々の足元の姿がそこに描写される。
一方、私の考えていた戦中は真っ暗で悲惨で、恐怖と死が隣合せだった。自分の地元の空襲時の死傷者の最後の時の話、捜索人と身元不明遺体の身にあった遺品とが恐ろしい人数で未だにマッチングしていない現実。戦後高度成長期を何年も過ぎていたのに幼少期には戦争の時に残ったとされる建物が胆試しするように幽霊コンクリートとしてあったから。
伏線の匂わせさえ排除して一切悲劇の顔をせず、ほのぼのラインでノスタルジックさも漂わせて、段々変わっていく生活環境を客観的に、大袈裟にしない演出で、優しいユーモアも交えながら案内していくこうの史代先生。
私は本作で逆に学んだ。
緊急事態で臨戦態勢で物資不足で、平穏な今の私達には想像しきれないほど戦争に生活が変更させられても、それでもそこには、毎日の暮らしがなんとか通常運転出来るようみんなが肩を寄せあって、ちゃんと一般大衆が一杯一杯生活してたんだ、ということを。
それを作品から教えてもらった。
6年前の映画館でのアニメ鑑賞先行で、その後TVドラマ化も一部視聴、いずれも良かったので漫画に来た。
戦争物は古今東西、ノンフィクションフィクション取り混ぜあらゆる形で生まれているが、「ほたるの墓」が子ども目線なら、本作は年頃の女性目線。ストーリーは流れとしてあるより、プツリプツリしている。
戦争とは、と大上段に構えずとも、一人の女性の日々が戦争の時代にあった、というお話として味わえる。
しかし家族の勤務先がその状況に沿ったものであったりして、嫁ぎ先呉が軍港都市である性格ゆえに、主人公すず達の生活はその呉の運命と共にあった。主人公達の毎日は、親が男兄弟が実家が婚家が近所が、その様々な共同体の一構成単位で直接間接に軍に人手を供給。日々は食糧確保に家庭の切り盛りに近所付き合いの枠をはみ出した「隣組」にと、工夫も必要。田舎ののどかな時間進行を背景に持ちながらも、正に戦争の真っ只中だ。のほほんとしたすずでさえ否応なく、遠かった軍靴が日増しに近づくことに無関心とはいえず、港に出入りする戦艦を眼下に眺めて、目の前のことにひたむきに取り組み、周囲の人たちと協力しあって毎日をただ精一杯生きていて。いとおしいほど人々の足元の姿がそこに描写される。
一方、私の考えていた戦中は真っ暗で悲惨で、恐怖と死が隣合せだった。自分の地元の空襲時の死傷者の最後の時の話、捜索人と身元不明遺体の身にあった遺品とが恐ろしい人数で未だにマッチングしていない現実。戦後高度成長期を何年も過ぎていたのに幼少期には戦争の時に残ったとされる建物が胆試しするように幽霊コンクリートとしてあったから。
伏線の匂わせさえ排除して一切悲劇の顔をせず、ほのぼのラインでノスタルジックさも漂わせて、段々変わっていく生活環境を客観的に、大袈裟にしない演出で、優しいユーモアも交えながら案内していくこうの史代先生。
私は本作で逆に学んだ。
緊急事態で臨戦態勢で物資不足で、平穏な今の私達には想像しきれないほど戦争に生活が変更させられても、それでもそこには、毎日の暮らしがなんとか通常運転出来るようみんなが肩を寄せあって、ちゃんと一般大衆が一杯一杯生活してたんだ、ということを。
それを作品から教えてもらった。
6年前の映画館でのアニメ鑑賞先行で、その後TVドラマ化も一部視聴、いずれも良かったので漫画に来た。
戦争物は古今東西、ノンフィクションフィクション取り混ぜあらゆる形で生まれているが、「ほたるの墓」が子ども目線なら、本作は年頃の女性目線。ストーリーは流れとしてあるより、プツリプツリしている。
戦争とは、と大上段に構えずとも、一人の女性の日々が戦争の時代にあった、というお話として味わえる。

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…… さん
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romance2 さん
(女性/60代~) 総レビュー数:1852件
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名探偵キャサリンの息子 さん
(男性/60代~) 総レビュー数:145件
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ぴひこ さん
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